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新浮士德

新浮士德
類型青年漫畫成人漫畫
漫畫
作者 手塚治虫
出版社 朝日新聞社
連載期號 1988年1月1日・8日號
完結期號 1988年12月16日號(未完)
發表期間 1987年—1988年
冊數 全1卷

新浮士德日本漫畫家手塚治虫德國作家、詩人歌德的作品浮士德為題材創作而成的漫畫。於1987年起在朝日雜誌日語朝日ジャーナル上連載,後因為手冢在1989年的去世而未完成,該作也被認為是手冢的絕筆。NHK曾將其製作成廣播劇。

概要[編輯]

手塚治虫從1987年開始到去世之前,都一直在進行『南美派遣記日語グリンゴ』、『路德維希·B·貝多芬日語ルードウィヒ・B』和《新浮士德》這三部漫畫的創作,但均未能完成。然而,手冢生前所畫的最後一幅畫是《新浮士德》的原稿[1]

朝日新聞於1987年12月起開始連載新浮士德,並前後持續了將近一年。手塚治虫在漫畫的連載期間曾因胃癌住院,但仍堅持在床上作畫[1]。手冢的終稿曾被講談社發行的《手塚治虫漫畫全集日語手塚治虫漫画全集》(全382巻+別巻18巻では)收錄。

講談社の発行している『』全382巻+別巻18巻では、晩年の作品としては『グリンゴ』よりも後の369巻として刊行されており、手塚が最後に描いた下描きの內容が巻末に収められている。

手塚治虫の娘である手塚るみ子は、「體を若返らせたい、もう一度人生をやり直したい、まだまだやり殘したことはあるんだ」という主人公の願いは治蟲自身の願いと重なる、と語っている[1]

手塚治虫が胃癌であることは本人には最期まで伏せられ、醫者からは胃潰瘍だと告げられていた。息子の手塚眞や妻などの家族も本人は胃癌とは知らなかったと語る。しかし、本作の登場人物の一人・坂根第造は、胃潰瘍だと告げられるも胃癌と知りつつ死亡するという、手塚に酷似した狀況に置かれている。また第造が死んだあとに主人公が試みるのは「生命體の製作[2]」であった。

相關人物[編輯]

一ノ関教授
NG大學の教授。生命の神秘と宇宙の神秘を解き明かすために、50年間にわたってNG大學で研究に取り組んだ。3度もノーベル生化學賞候補になったという生化學工學の世界的権威だが、世事に疎く講義も退屈で、他の教授陣や學生からは生ける屍扱いされている。學生運動で混亂する最中、自らの人生を悲観して服毒自殺しようとしたところをメフィストに救われ、彼女と悪魔の契約を交わす。その後、メフィストとともに1958年まで時間をさかのぼり、魔女の秘薬によって20歳の青年・坂根第一として若返る(つまり1938年生まれ)。
坂根第一(さかね だいいち)
一ノ関教授がメフィストと契約を交わして若返った姿。坂根第造に見込まれて養子となり、第造の巨萬の富を相続する。生命を造り出す造物主になりたいという野望を胸に、NG大學に研究員として入り、生命の研究を始める。前身である一ノ関教授の記憶は消え去っているが、彼の筆跡や豊富な知識は第一に受け継がれている。のち、第1部の終盤で一ノ関教授の研究と業績も受け継ぎ、一ノ関第一と名乗って、自らの野望の実現に動き出す。
メフィスト(メフィストフェレス)
學生運動で混亂するNG大學に現れた女悪魔。人生を悲観して服毒死を遂げようとしていた一ノ関教授の前に現れて、彼と契約を交わす。一ノ関教授を若返らせて坂根第一に変容させ、第一に仕えて彼の願いを葉えるべく暗躍する。また、黒犬に変身したり魔術を駆使したりして第一を脅かす人間を殺害する。第一に仕えながらも、彼に戀心を抱いている。なお、男の悪魔のことは牡フィストという。
坂根第造
坂根物産・坂根土木などの企業を統括する実業家。坂根第一の才能を見込んで養子とし、傘下の企業で働かせながら自らの人生哲學を教え込む。坂根グループを一代で築いた守銭奴で、東京オリンピック関連の土木工事・東海道新幹線の工事・首都高速道路などの大プロジェクトに食い込み、巨萬の富を築く。のち胃癌に冒され、自らの遺産を第一に譲ったのちに亡くなる。
高田まり子
NG大學文學部の女子學生。坂根第一とつき合っているが、石巻率いる學生運動にも加わっており、第一への戀情との板挾みになって悩む。のち第一の子を宿す。第二部では精神を病んで隔離病棟に入れられており、第一の子どもも彼女自ら池に沈めて殺したことが語られる。本作品は、まり子を哀れんだ一ノ関第一(坂根第一ののちの姿)がメフィストに彼女の救済を求める場面で終わり、未完成となっている。
高田警部
まり子の兄で警視庁の警部。學生運動を取り締まっており、學生運動から抜けられないまり子の行動に悩んでいる。坂根第一を、NG大學周辺で続発する破壊活動や殺人事件の黒幕として追っている。
石卷
NG大學全共闘のリーダーで、目的達成のためには時限爆弾や硫酸ビンを用いた過激な破壊活動も辭さない。高田まり子を戀しており、坂根第一と対立する。のち、學生運動の最中に命を落とすことを予感し、學生運動勝利の暁に分身としてよみがえることを願って、自らの精子を第一に託す。直後に、黒犬に変身したメフィストによって焼殺される。
山本助教授
NG大學の助教授で、一ノ関教授を生化學センターから追い出し、その研究を奪い取る。さらに生化學センターを企業に売り渡し、利益を上げようとする。一種の日和見主義者で、全共闘學生にもおもねろうとする。
一ノ関第一(いちのせき だいいち)
第1部の終盤で悪魔を召喚した一ノ関教授は悪魔によって殺され、坂根第一が一ノ関教授の研究や業績を全て引き継ぐ。坂根第一は一ノ関物産の社長となり、自らの野望(生命を造り出し、造物主となる)の実現に邁進する。

未完・その後の展開 未完成部分及後續[編輯]

朝日文庫版や講談社漫畫全集版などでは、終盤になるとネーム日語ネーム (漫画)のみが掲載され、そのまま絶筆になったことを物語っている。収録されている最後のページは絵コンテのまま「先生の側近に三人のおもしろい者たちをはべらせます」「誰なんだ」という台詞で終わっている。その3人が一體誰を指すのかは謎のままであるが、文庫版の長谷川つとむ日語長谷川つとむの解説によると、手塚はその後の展開を作り上げていた。それは、作中に登場する左翼活動家・石巻の精子が新生物となり、地球環境を壊滅させるという內容である。また、物語中盤で球體に入った女性が登場するが、これは人間ではなく「地球の存在そのものを表す生命體」として登場する予定であった[3]

さらに長谷川の著書によると、第一部では主人公は時間移動し、1950年代から1970年代を舞台としたが、第二部では地球の始まりまで戻り、そこで重要なものを現代に持ち込むという構想が立てられていたという[4]

また作者の手塚自身は生前、作品の結末について、主人公である坂根第一の魂が救済されて天國に昇るのか、まっさかさまに地獄に落ちるのか、どちらの行く末も魅力的だと述べていた[5]

出版信息[編輯]

廣播劇[編輯]

2000年にNHK『FMシアター日語FMシアター』の番組『ガラスの地球を救え〜手塚治虫のラストメッセージ』の中でラジオドラマ化されている。

播放時間
  • 上集:12月28日 19:40~20:30(約50分鐘)
  • 下集:12月29日 19:30~20:22(約52分種)
スタッフ
  • 原作:手塚治虫
  • 腳本:富永智紀
  • 音樂:長谷部徹
  • 製作統括:松本順
  • 技術:山中義弘
  • 音響効果:林幸夫、篠遠哲夫
  • 演出:吉田努
出演

手塚治虫與浮士德[編輯]

先行する漫畫化作品[編輯]

手塚治虫は生涯で3回、ゲーテのファウスト物語を基にした漫畫を描いた。1作目は戦後間もない20歳の頃に描いた児童向け赤本日語赤本 (少年向け本)漫畫『ファウスト』で、2作目は蟲プロ社長を辭めた直後の、人生のどん底と語った42歳の頃に描いた『百物語』である。『ネオ・ファウスト』は3作目に當たる。

この3作はゲーテのファウストに書かれた「これから死のうとしている男が若返り、人生をやり直す」という共通したテーマが描かれているが、內容は3作とも手塚のアレンジが加わり大きく異なる。後に描かれた作品ほど読者の対象年齢が高く設定されている。

児童向け漫畫『ファウスト』は初期の手塚絵らしく、登場人物はみな頭身が低く可愛く描かれている。內容もゲーテの原作におおむね忠実である。しかし児童漫畫なので、ゲーテの原作にある妊娠小説のような不適切な要素は除いて翻案されている(ソ連のアニメ映畫『せむしの仔馬日語せむしの仔馬』を意識したような絵の描き方がされている)。

『百物語』は『ライオンブックス日語ライオンブックス』の一編であり、前述の作品より対象年齢をやや高く設定された內容である。舞台も日本の戦國時代に移し、後半のほとんどは手塚のオリジナルストーリーで進む。

劇場アニメの企畫[編輯]

実現はしなかったが、1984年リクルート時代の藤原和博日語藤原和博からアニメ映畫の企畫を打診され、手塚は『ネオ・ファウスト』の題名で完全なシナリオ原稿を書き上げている。手塚は非常に乗り気であったが、予算の面から計畫は立ち消え、その後に手塚が死去したことから、藤原の悔やむところとなった。

本作は未製作に終わったが、內容をさらに発展させ漫畫『ネオ・ファウスト』が生まれることになった。ストーリーは漫畫とは前半からすでに大きく異なる。 現在、この劇場アニメ版のシナリオ原稿は、『ぜんぶ手塚治虫!』(朝日新聞社、2007年)や、『手塚治虫SF・小説の玉手箱』(樹立社)などで読むことができる。その物語の概要は以下のようなものである。

あらすじ[編輯]

舞台は現代の學園都市から始まる。一人の女悪魔メフィストフェレスは人間界に降り立ち、「フェレス」という偽名を使った。フェレスはファッション雑誌を參考に可愛い女の子へと姿を変え、とある大學教授を探していた。フェレスは神と賭けをしたからである。もし善良な選ばれた人間の魂を、悪魔的な魂に変えることができたら、地球は悪魔たちのものになるといった內容であった。その賭けの魂に選ばれたのが、大學の老教授であるファウストである。

その頃、ファウストは己の人生に儚んでおり、助手が置いていった牛乳に毒が入っていると悟ると、それを飲み干そうとする。それを見たフェレスは、ファウストの自殺を止め、悪魔の契約をする。契約の內容は、3つの願いごとを葉え、彼が満足すれば代わりに魂を悪魔に譲る、というものであった。3つの願いごとは「若返る」「絶世の美女をものにする」「権力者になる」に決まった。満足すれば「時間よとまれ、今のお前は美しい」という約束のもと。

フェレスはファウストを若返らせ、権力者にすべく、この國の大統領になることを薦めた。まずファウストは、フェレスの計畫通り、6000億ドルほどの金を用意して裏工作を行い、大蔵大臣の地位を得る。ファウストはその前後に、一人の少女に戀をして愛を育むが、その兄である軍事司令官を殺す。ファウストは彼を殺したことによって、軍事司令官の地位を得た。そして大統領はファウストに、隣國との戦爭に勝てば大統領の地位を與えることを約束する。ファウストは隣國に勝つために、かつて自分が研究していた人工生命體を使うことにした。ファウストは大量の資金を投入し、昔自分が務めていた大學で人工人間を大量生産した。ファウストは戦爭に勝つだけでなく隣國を丸ごと壊滅狀態にしたが、大統領からはやり過ぎだと警戒される。ファウストはフェレスの助言を受け、大統領を殺害するクーデターを計畫し、実行に移す。大統領は思惑通り殺された。しかし、ファウストは若さ・絶世の美女・権力、全てを手に入れたはずなのに、一向に満足はできなかった。

クーデターの最中、思いがけないことに人工人間たちは暴走を始め、自らの手で増殖し、破壊の限りを盡くすようになる。そこへファウストに一本の電話が入り、かつて自分が戀をしていた少女が人工人間たちに襲われつつあることを知る。ファウストは、本當に自分の大切なものは何だったのかを悟り、人工人間たちが量産されている大學のコンピューター施設を破壊しに出向く。ファウストは手榴弾でコンピューターを破壊するが、人工人間たちはファウストに自動小銃で痛手を與える。

ファウストは血を流しながらも、バイクで少女を助けに行く。少女が住んでいた家は、炎に包まれていた。もう逃げることもできないほど燃え上がった建物の中で、ファウストは少女を抱きしめると、この上ない幸せを感じた。そして満足した彼は「時間よとまれ、今のお前は美しい」を叫ぶ。

ファウストの魂はフェレスのものになるはずであったが、フェレスはファウストに戀心を抱きつつも自分のものにはならないと悟っていたため、契約書を青い炎で焼いた。ファウストと少女は、焼け崩れた建物の中に包まれる。しかし、二人の魂は一つの光となって天高く舞い上がった。それを見ていたフェレスは、泣いているような笑っているような複雑な顔でいつまでも見つめていた。

アニメ製作の試み 動畫製作嘗試[編輯]

1999年1月15日NHK総合テレビで『手塚治虫・世紀末へのメッセージ』が放送された。この番組で、上述の劇場アニメ版『ネオ・ファウスト』の116枚に及ぶアニメ用シナリオが遺稿として発見されたことが伝えられた。シナリオの存在は、この番組で初めて一般に公表された。ただし、番組ではアニメ作品の題名を『ファウスト』として紹介したが、実際には『ネオ・ファウスト』の題名で企畫されていた。

このシナリオの內容は漫畫版と重なる部分が多々あることから、このシナリオを利用して未完であった漫畫『ネオ・ファウスト』の部分的なアニメ製作が試みられた。オリジナルの冒頭と、漫畫では描かれなかった部分、途中および終結部が6分程度にまとめられた。また、登場人物は漫畫のキャラクターの絵に合わせ、ストーリーも時間內に収まるように台詞を変えたり、物語を分かりやすくするための腳色が加えられている。

あらすじ[編輯]

ファウストは薄暗い地下室にいた。人生をはかなんだ彼は、自ら用意していた毒をあおろうとする。そこへ女悪魔が現れ、ファウストを満足させる代わりに魂を貰うことを約束する。ファウストは若返り、欲望の限りを盡す。彼の野望は、クローン人間を生み出し世界を征服するという、途方もないものであった。彼はクローンを兵士として仕立て上げ、あらゆる國に送り出し、破壊の限りを盡くす。ファウストは世界を征服したが、それは焼け野原になった世界であった。 ラストでは、少女との純愛に目覚めたファウストが戦場で追いつめられ、悪魔メフィストと対峙して契約の取り決め通りの言葉「時よ止まれ、お前はなんと美しい」を叫ぶ。そして瓦礫に押しつぶされたファウストたち2人の魂は昇天し、上空で一つの光になる。それを見ていたメフィストは姿を消す。

備考[編輯]

このアニメの內容は、あくまで漫畫以前に書かれた劇場アニメ用シナリオに基づいており、漫畫『ネオ・ファウスト』で予定していたと長谷川によって明かされた內容とは大きく異なる。長谷川は、劇場アニメ用シナリオ等の先行作品では主人公の魂を全て最後に救い、天に召されるようにしているが、漫畫『ネオ・ファウスト』ではそれに加えて、正反対である主人公の「地獄墮ち」をも検討していたと述べている。

草稿の発見と展示 手稿展示[編輯]

2014年3月27日に手塚の娘・るみ子が手塚の機を整理していたところ、25年ぶりに開けた引出しから『ネオ・ファウスト』と『グリンゴ』の草稿4枚を発見した。この発見された草稿は兵庫県寶塚市市立手塚治虫記念館日語宝塚市立手塚治虫記念館で2014年5月24日から6月30日まで展示された[6]

1ページの『ネオ・ファウスト』の草稿は鉛筆で描かれている。これは完成原稿では2ページとなっており、台詞の変更もある。

參考來源[編輯]

  1. ^ 1.0 1.1 1.2 NHK「手塚治虫 世紀末へのメッセージ」(1999年1月15日22:00~22:50放送)
  2. ^ アニメイト、手塚が執着したアニメーション製作のことか
  3. ^ 朝日文庫版『ネオ・ファウスト』(1992年)の長谷川つとむ日語長谷川つとむの解説(p414)。1988年9月の手塚自身の発言による。
  4. ^ 中公文庫『手塚治虫に関する八つの誤解』長谷川つとむ 1999年 p.231
  5. ^ 手塚治虫『ガラスの地球を救え』。
  6. ^ 産経ニュース『「ネオ・ファウスト」「グリンゴ」…手塚治虫さんの遺作原稿展示』(2014年5月28日)

外部連結[編輯]